白桜学院高等学校シリーズ その2-3

白桜学院高等学校シリーズ2作目。

A5版全60ページ(シリーズ作最長作品)その3。

「亮斗、体調はどうだ?」

「まーだいだいは、良くなりました」

「ごめんなー。オレ達も、付いて行かなくて・・・」

「そんな事ないですよ!今こうして、来てくれたじゃないですか!」

「亮斗・・・・」

「にしても、あの猫はどうなったんですか?」

『あっ・・・・』

晳・隼を含む全員が、猫の方へ向いた。猫は全く動いていなか

った。すると、

ヒュッ!シュタッ!

『!?』

何者かが、黒猫の近くに降り立った。

 

             *

 

 亮斗・晳・隼を含む全員の間で、緊迫した空気が流れた。降

り立っていたのは、白猫だった。白猫は一度亮斗達を見て、黒

猫の方へ歩いて行った。

「・・・・はぁー・・・いつまで気絶した振りを、するつもり

なの?」

「・・・・バレた?」

黒猫は、むくりと起き上がった。

「イテテテ。いやマジでさっきまで、気絶してた」

「もう意地になって、追っかけるのやめなさい」

「えぇ~。そりゃないぜ姉貴」

「せめて、姉さんと呼びなさい」

そう言うと、亮斗達の所へ歩いて来た。亮斗達は後退りをしよ

うとしたが、池の側に居るため、逃げ場が無くなっていた。白

猫は亮斗達まで、あと数センチの所で止まった。

「大丈夫よ。私はあそこに居る弟のように、襲ったりしないか

ら。弟が突然襲って、ごめんなさい」

そう言うと、白猫は頭を下げた。

 俺達の方も悪いのに・・・・

亮斗は慌てて言った。

「おっ、俺達も危ないって知ってるのに、外歩いてたし・・・・

顔を上げて下さい」

「でも・・・・」

「いいんです。そちらの方は、もう襲う気は無いんですよね?」

亮斗は、黒猫に問いかけた。

「あぁ。オレ負けだ。まさか、ネズミに負けるなんてな。にし

ても、おまえは・・・・人間か?」

「あぁ~・・・その~・・・・これには、訳がありまして・・・」

亮斗は、ここまでの経緯を話した。

「へぇ~。星の神の神官がね~・・・・」

「そんな事が、世の中にはあるのね~・・・」

「大変だな、亮斗」

黒猫・白猫・晳が口々に言った。すると、白猫が何かを思い出

した。

「そういえば、カラスに追われてるネズミ達を、保護したんだ

った」

「本当ですか!?」

「えぇ」

「会わせてくれませんか?」

「いいわよ。私の背中に乗って」

 親切だなぁ~・・・・

そう思いながら、白猫の背に乗った。

「あの~」

「うん?」

「白猫さん、黒猫さんじゃ言いにくいので、名前を教えてくれ

ませんか?」

「いいわよ。私の名前は雲(くも)。宜しくね」

「オレの名前は昊(こう)だ!宜しくな!」

「雲さんに、昊さんか・・・」

「オレは、普通に昊でいいぜ!」

「じゃぁ・・・昊?」

「おう!」

「俺の名前は黒田亮斗!宜しくな!」

「亮斗君ね」

「良い名前じゃないか!」

 

その後、亮斗・晳・隼は雲・昊の背に乗り、晳・隼の仲間の元

へ向かった。

 

            *

 

 大量のボール、ラインマーカーなど、何処を見渡しても体育

関連の道具が、置かれていた。そんな中、マットの上に四匹の

小ネズミが居た。

「はぁ~・・・・どうするよ、香(こう)?」

「どうするったって、・・・・おまえは、どうなんだよ篭(ろう)?」

「オレに聞くな」

「櫨(はぜ)は?」

「・・・・取りに行く?」

「無理だろ!」

「無理」

「無理だ!」

三匹は一斉にツッコンだ。

「じゃぁ、言い出した君はどうなんだ?伽(とぎ)?」

「うっ・・・・」

「じゃぁ、諦めて晳さんに、怒られるしかないね」

「・・・・」

ハァー・・・・

櫨以外の三人は、溜め息をした。すると、

「うん?」

「どうした櫨?」

「何か聞こえない?」

「?」

「?」

「?」

四匹は耳を澄ました。

「・・・・この声って・・・」

「ウソだろ~・・・」

「マジで・・・」

「あらら」

タッタッタッタッ!

「おまえら無事か!?」

『リーダー!!』

うわぁぁぁ~~~!!

四匹は晳に抱きついた。

「おめーらも大変だったな。雲から聞いたぜ。カラス相手に、逃げてたってよ」

伽・香・篭は大泣きしながら言った。

「うぇぇぇ~ん。オレ、めっちゃ恐かった~!!」

「勝手に外にでて、ごめんなさい~!!」

「もうしません~!!」

先に落ち着いていた、櫨言った。

「ごめんなさい、リーダー。あの不思議な玉、カラスに取られちゃいました」

「まぁ~・・・気にすんな!!おまえらが無事で、オレはホッとしたぜ」

うるうる・・・・

櫨の目がまた涙目になり、泣き出した。隼は言った。

「よかった。皆無事で」

亮斗も言った。

「あぁ。安心した」

「やっと、敬語が直ったね」

「あっ」

「いいよ。何か、もっと仲良しになれたような、気がするから」

「あは、あはは・・・・あっ!」

亮斗は何かを思い出し、小ネズミ達に聞いた。

「ちょっと、聞いてもいいか?」

『うん?』

「その玉は、七色に光ってたか?」

う~ん・・・・

 あっ・・・何かまた、嫌な予感が・・・

またしても、予感は的中した。

「うん!光ってた!」

「確かに、七色だったよな?」

「そう、そう」

「綺麗だったよね」

 あっちゃ~・・・・

カラスに取られた物は、亮斗の探している物だったらしい。ガ

ックリと肩を落とした。ここで雲が、一つ提案をした。

「私の知り合いに、カラスの“空 ”がいるけど・・・会ってみる?」

「本当ですか!?」

「えぇ」

「はい!会いたいです!!」

亮斗は空に会うため、外に出た。他のメンバーも見送るために、

外に出た。晳は言った。

「ありがとうな!亮斗!御陰で、ちび達に会えたぜ!!」

「俺もここまでこれたのは、皆の御陰です。隼・晳さん、お世話になりました!」

「あぁ!」

「気をつけてね!」

隼・晳・ちびっ子達に手を振られながら、雲の背に乗り昊と共

に行った。

 

            *

 

 空は昼間の青空から、茜色に染まりつつあった。町中は暗く

なり始め、人通りが少なくなっていた。そんな中、家の塀を器

用に進む二匹がいた。

「・・・・」

 何か雲さんも、昊も暗いな・・・・

二匹は何処か、暗い顔をしていた。

「なぁ~姉貴?」

「何?」

「何だか・・・静か過ぎねぇ~か?」

「・・・そうね」

「ここら辺に来たら、空の仲間に会うはず・・・」

「・・・・」

すると、

バサバサバサ・・・・・

一羽のカラスが飛んでいた。

「あっ!ちょっと、そこの人!」

「何だ?」

「何だかいつもと、違う感じだけど何かあったの?」

「・・・・」

飛んでいたカラスは、雲の居る塀の上に止まった。何だか、暗い顔をしていた。

「今この町で、カラス狩りが起きてるんだ・・・」

『!?』

「オレ達の仲間も捕まった上に、巣まで撤去されたんだ・・・」

「もしかして・・・空も?」

「いや、空は何とか残ってる・・・だが、もう時間の問題だ」

「・・・・」

「おまえ達も気をつけろ。人間共は何をするか、分からないからな」

バサバサバサ・・・・・

カラスは飛び立って行った。

「・・・空・・・」

「・・・早く行こうぜ」

「えぇ・・・」

「そうですね・・・」

二匹は、早歩きで空の元へ向かった。

 

            *

 

「返せ!人間共!!」

「返せ!返せ!」

カァーカァー!!

町中では、撤去作業が続いていた。カラス達は必死の抵抗を、繰り返していた。

「しつこいな!網持ってこい!」

バサ!バサ!

カラス達は難無く避けた。

「ヤバイ!あの網はマズイ!退却!!」

バサバサバサ・・・・・

カラス達は、リーダーの元へ飛んで行った。

 

            *

 

 一方、亮斗達は空の元に、辿り着いた。

「空!!」

「雲!?どうして、あなたがここに居るの!?」

「説明は後!とにかく、早く移動しないと!!」

雲はいつになく、慌てていた。

「・・・・無理よ」

「え?どうして?」

「巣の中を見たら、分かるわ」

「?」

雲は亮斗を降ろし、巣の中を覗いた。

「!?」

巣の中には、もう少しで巣立ちを迎える、子供達が居た。

「分かった?だから、私は行かない」

「・・・・」

「あの~・・・」

「!?」

空は亮斗も見て、固まった。

「雲、まさかこの子は・・・・」

「人間よ・・・」

「・・・・あなた帰った方が良いわ。これでもし、リーダーに見つかったら・・・」

「見つかったら、何だ?」

『!?』

その場にいた全員が、声のした方へ向いた。

「リーダー・・・・」

「空、おまえ何で人間と、話をしているんだ?」

その声は、何処か威圧感のある声だった。

「そっ、それは・・・」

「それは、俺の所為だ!!」

「亮斗!?」

「亮斗君!?」

「!?」

(亮斗?・・・・)

亮斗は前に出た。

「俺はある物を探して、いろいろな場所を旅した。いろんな人に助けて貰って、ここに辿り着いたんだ。空さんからじゃなくて、俺から近づいたんだ」

「・・・・」

カラスは少し考え、何かを思い付いた。

「そのある物とは、七色に光る物か?」

「知ってるのか!?」

「知ってるも何も、オレの仲間が、持って帰って来た物だからな」

「じゃぁ・・・」

「但し、タダでは渡さない」

「!?」

「リーダー!」

「それが欲しいのなら、オレ達の仲間を一人残らず、助けろ」

「・・・・助けたら、俺に渡すんだな?」

「亮斗!無茶な真似は止めろ!」

「俺は本気だ、昊。俺は、大切な事を思い出せたんだ。人間だけの都合で撤去されるなんて、昊は本当に納得出来るか?」

「亮斗・・・・」

「ふん。精々頑張るんだな」

バサバサバサ・・・・・

カラスは飛び立って行った。

 

(似ている。オレの命の恩人に・・・・・)

 

            *

 

 空はいつの間にか、夜の海の色になっていた。雲間から月が

覗き、夜の町を照らしていた。ただ一つ、無い物があった。

「星が無いわ・・・・」

「そうですね・・・・」

亮斗・空は、夜空を見上げながら言った。泊まる所が無い亮斗

は、空の巣に泊まる事になった。

「亮斗君?」

「何ですか?」

「本当に、大丈夫なの?」

「う~ん・・・とにかく、明日になってみないと、分からない・・」

「そう・・・・」

「大丈夫ですよ。絶対助けますよ」

笑顔で答えた。空はホッとしたのか、顔が明るくなっていた。

「リーダーはね、前に人間達に、大怪我を負わされた事があるの」

「えっ!?」

「怪我で動けなくなったリーダーは、そのまま放置されたそうよ。側を通り掛かった人は何人もいたのに、誰も助けてくれなかった。そんな中、一人の男の子が近くに来たの。『大丈夫?』て、声を掛けたそうよ」

「・・・・」

 あれ?何か昔あったような・・・

「その男の子は、リーダーを家に連れて帰って、怪我の治療をしてくれたそうよ。怪我が治ってからも、時々その子の家に通ってたそうだけど、ある日突然居なくなってたそうよ」

「・・・・それって、何年ほど前か覚えてますか?」

「そうね~・・・十年前くらいかな?」

「・・・・」

「もう、遅いから寝ましょう」

「・・・そうですね」

二人は子供達と一緒に、眠りについた。

 

 

『や~い、や~い。カラスが倒れてるぜ!!』

『ホントだぜ!石ぶつけちゃえ!』

何処にでもいそうな、悪ガキがいた。地面に倒れているカラスに、石をぶつけていた。何だかその光景に、イライラしていた。

『止めろよ!』

『はぁ~?俺様に喧嘩売る気か?』

『へぇっ!馬鹿な奴だな!』

『ごちゃごちゃ、五月蠅い。とにかく、カラスに石をぶつけるの、止めろよ!』

『何だと~!!』

バコ!!

悪ガキは、顔を殴って来た。

『やったなぁ~!!』

バコ!!

遣られた男の子は、直ぐに殴り返した。

『このヤロ~!!』

暫く、二人の取っ組み合いが続いた。

 

『ちくしょ~!覚えてろよ!』

悪ガキ達は、退散して行った。直ぐに男の子は、カラスの元へ向かった。

『大丈夫?』

『・・・カァ・・・・』

『良かった!まだ、生きてた!!』

男の子はカラスを両手で抱え、自宅へ帰って行った。

 

「・・・ここは・・・確か・・・昨日の夢?」

「正解で~す」

「!?」

亮斗は飛び起きて、後ろを振り向いた。そこには、ロアーが居た。

「ロアー!?何で俺の夢に居るんだ!?」

「星の神様の命令で、あなたに協力しても、良い事になったん

です」

「協力?」

「そうです。協力です」

「ふ~ん・・・・一つ聞いても良いか?」

「何ですか?」

「今回、俺が探している物って・・・・星か?」

「!?」

ロアーは少し驚いた顔をして、暫く固まっていた。

「・・・・そうです。あなたが、探している物は、“スターライト ”と言う物です」

「スターライト?」

「スターライトとは・・・

 

 昔空には月とし雲しか、ありませんでした。

 その後、月の神と雲の神の間に、子供が出来ました。それが、現在の星の神なのです。星の神は、地上からの世界を空の世界から、観察するのが大好きでした。

やがて、人間が生まれ、人々に尊敬された者、人々を助けた者が現れました。星の神は考えました。

 「こんなに素晴らしい人々を、いつでも人々に見える形に、出来ないかしら・・・・」

 そこで考えたのが、空に“星 ”という形で、見えるようにする事でした。

 

星の神はスターライトを作り、星を作っていきました」

「つまり、スターライトが無いと、星がこの世から消えるって事か?」

「はい」

「・・・・」

 すげ~大役を、任されてたのかよ~・・・・

亮斗は渋い顔をしてから、ロアーに言った。

「ロアー」

「はい?」

「協力してくれるんだよな?」

「そうですよ」

「じゃぁ、俺の頼み聞いてくれないか?」

「はい!出来る限り、頑張ります!」

「じゃぁ言うぞ。俺の頼みってのは・・・・」

 

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